2017年11月19日
高校時代の先輩にお礼を言って出発。

帰りまーす。
福知山市からゴールの京都市までは90kmほど。

ここからは9号線を辿っているだけで、少なくとも9号線の起点である京都市の堀川五条交差点に到着することは約束されているわけだから、つまり堀川五条のブックオフに立ち寄れるということは、まぁつまりはそういうこと。

帰り道にブックオフで立ち読みして帰れるということです。

今日は7度と気温が低い。
お腹が減ったのに、田舎が続いていて店もない。
けれど、なぜか心は穏やか。

静かに考え事をする。
特にこれまでの自転車旅の風景が走馬灯のように頭をよぎった訳ではない。
例えば昨日の講演会のこととか、いつものように、いろいろなものから連想して、思考をジャンプさせていく。

「走っている時は何を考えているの?」と訊かれることがあるけれど、考えることなんていくらでも思いつくものです。たとえモンゴルの大草原みたいに何日も景色が変わらない場所を走っていたとしても。
そんな中での、小さな発見や気付きの瞬間が心地いい。

僕はこの自転車旅を通して、何も得られなくてもいいと思っていた。
何かを得るため、何かを変えるために走るというのは不純な気がしていた。
僕は、ただ自転車で旅をするだけの生活に没頭できればそれでよかった。

けれど、昨日の講演会でお話をさせてもらったり、その後、先輩の家で夜遅くまでいろんな話をする中で、僕の中に蓄積されたたくさんの気付きや発見がとても大きな財産になっていたように感じた。何も得られなくても良いと思っていた僕にとって、それはご褒美みたいに思えた。

今でも僕は、どこか自分は恥ずかしいことをしているという気持ちを持っている。働き盛りである30歳前後の貴重な時間を棒に振って、納税もせずにただ遊んですごすというのは、決して褒められたことではないと思う。
でも一方で、この財産を得られたことを少し誇らしくも思えた。
たくさんの犠牲を払って出た、この自転車世界一周の旅。
もしかしたらそれだけの価値があったのかな、と思います。
そう思えてゴールを迎えられたことが、とても嬉しい。

3度目の正直。
今度こそ自転車世界一周のゴールです。