2014年12月24日 <3日目>今日はいよいよ山頂まで。
起床時間はなんと夜中12時。夕方6時半頃に布団に入って,一応3時間くらいは寝られた。体調は問題なし。短時間だったけれど熟睡できて気分もスッキリしている。
外に出ると,上空には一面星空が広がっている。天気は問題なさそう。
何よりも天気だけが心配だったので,この時点で勝ちを確信した。
軽くご飯を食べて,ヘッドランプを装備。
午前1時,ロックキャンプを出発。
この先はずっと雪道なのでアイゼンを履く。
前かがみになってアイゼンを履いていた時に,リュックの横に指していた600mmのペットボトルが抜け落ち,斜面を転がっていく。貴重な水が……。早くも残りの水は1.1L。さい先が不安だ。
なぜこの時間に出発なのかというと,日が昇って気温が上昇すると雪が溶けて非常に危険だからだそう。この時間に登り始めれば,ちょうどご来光が見える時間に山頂に到達できるらしい。山頂へは午前6時か7時頃に到着予定。
40分くらい歩くごとに4,5分の休憩を挟む。
あんまり長く休んでいても体が冷えるので。
かなりの斜面を登る場面もあるけれど,基本的に暗いのでそんなに怖くはない。
命綱も繋がってるし。
ラパスの夜景が見える。
ガイドと一緒だと歩くペースが合わせられないのがキツイ。
ていうかこのガイド歩くの速いねん。
登りの時はペースを落としてくれるんやけど,平坦とか歩きやすいところになると急にペースが速くなるのでちょっとイラっとした。正直,登りよりも平坦の方がしんどかった気すらする。
標高5800mくらいのところで急にしんどくなってきた。
頭痛とか高山病の症状はないけれど,かなりきつい。ていうか歩くペース速い。僕たちの前を行く集団がいくつかあったけれど,全て抜かして現在1番手。
これまで天気の心配しかしてこなかったけれど,初めて僕自身に対して,「これ頂上までもつんか?」って心配になった。
明け方。
空が明るくなってきた。
下の方には雲海が見える。
あのてっぺんがゴール。
自転車旅行を始めて1年半。
印象に残っている景色っていうのはたくさんあるけれど,
今日またひとつ,そんな景色に出会えた。
僕は景色を見て泣いたりすることはほとんどないけれど,この景色を見て,急に涙が溢れてきた。
もう顔を歪めて号泣する。しんどい思いをして得られた景色だから余計になのか。
今日はクリスマスイブ。
1日早いけれど,今日は多分サンタさんがいい天気にしてくれたんやなって思った。
今日この景色を見られたことがものすごく幸せなことに感じた。
この景色を見せてくれたすべての人,もの,要因に感謝。
とにかく感謝っていう言葉で頭の中がいっぱいになった。
まだ頂上は少し先。
しかし,感動のピークはここで終了。
ここから急にガイドがはしゃぎだして,「写真を撮ってやる。1枚につきビール1本だぞ」とかしょうもないこと言い出して,そんな雰囲気じゃなくなる。先に言うと,頂上に着いたあとも,あまりゆっくり景色を眺める時間っていうのはなくて,急かすように下山させられたし。
そして午前6時前……,
山頂に到達!
一緒に登ってきた日本人旅行者と。
ちょうどご来光が顔を出すところ。
地球上にこれ以上素晴らしい景色ってあるのかっていうくらい最高の景色。
そしてロロ君である。
こんなに高所に来たロロ君は世界初でしょう。
頂上では写真を撮るのに忙しかったし,ガイドもいらん世話を焼いてポーズまで指定して写真を撮ろうとするし,本当にあまりゆっくりすることなく下山準備に取り掛かる。山頂には20分くらいしか居てない気がする。水飲んだりお菓子食べたりっていう休憩すらほとんどしていない。そもそも水に関しては出発時に落としたので,すでにほとんどないんですけどね。
帰りは来た道を戻るだけ。
楽だけれど,それでももう終わった感があるのでしんどい,というかめんどくさい。
登山では下山時の方が死亡率が高いというけれど,なんとなく分かる。
その後,無事夜中出発したロックキャンプに帰還。真ん中ちょっと左に見えるのがその建物。
5時間掛けて登った道を,帰りは1時間半程度で下山。
このロックキャンプから,車が待つベースキャンプに戻るのもしんどい,というかめんどくさかったけれど,無事帰れてこれでワイナポトシ登頂成功。
車でラパス市街まで送ってもらい,ホテルに帰ってきたのがちょうどお昼頃。
かろうじて残っている体力を振り絞ってシャワーを浴び,ベッドへ倒れこむ。
そして夜,一緒にワイナポトシを登った日本人旅行者と,お祝いを兼ねてラパスの有名日本食レストラン『けんちゃん』へ,
行くけれどクリスマスイブでしまっている……。
その後も日本食レストランを数々当たるも,全て閉店。
最後の最後に行き着いた店『ブルーベリーカフェ』。
日本人が経営している店。ここがなんとか開いていた。
日本の喫茶店の香りが店内に広がっていて,ちょっと目眩起こしそうになった。
ここで注文したのはカレー。
まあまあそれなりに美味しかった。
ほとんど行ったことないけど,多分ココイチに多少劣るくらいの味。