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旅の動機 その1

 大学4年生の冬,ネットで自転車で日本を一周した人の存在を知った。こんな楽しそうなことをしてる人がいるんや,とすごく魅力的に感じたし,自分もしてみたいと思った。そして大学を卒業する(はずだった)年の春,初めて少しいい自転車(いわゆる競輪選手が乗っているようなやつ)を買った。
 自転車に乗ってみた感想としては「こんなものか」程度のものだった。大学4年間は原付しか乗っていなかったので,自転車に乗ること自体下手したら数年ぶりで,自転車がどんなものかすら忘れつつあったのだ。でも慣れてくるにしたがって,ペダルを思い切り踏み込んだときの加速感,前傾姿勢になり風を切って走る爽快感にやみつきになっていった。

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 自転車を買って数週間後,ためしに自転車で100kmを走ってみた。家に着いたときは,疲労感とともに味わったことの無い充実感があった。そして次はもっと遠くへ行ってみたいと思った。
 そこから,『びわいち(琵琶湖を一周することです)』なんかを経て数ヵ月後,初めて泊りがけでの自転車ツーリングにチャレンジした。京都から大阪~和歌山~三重~滋賀~京都という紀伊半島をぐるりと一周する,4日間のツーリングだった。そのときは全然楽しくなかった。冗談ではなく,心の底から楽しくなかった。想像以上の険しい山々に泣きそうになりながら必死にペダルをこぎ続け,ただただ苦しくつらい日々だった。しかしそんな苦しみの中,満身創痍の中なんとか自宅までたどり着き,玄関で靴を脱いでいてまず頭の中に浮かんだのは,なぜか「次はもっと遠くに行ってみたい」という強い衝動だった。
 不思議なもので,それからは時間が経てば経つほど,記憶の中から旅の苦しさは抜け落ちていき,わずかな楽しかった思い出だけが結晶のように心の中に残り続け,もっと遠くに行ってみたいという想いは膨らんでいった。
 そんなこんなで翌年はさらに期間,距離を伸ばし,京都から九州,四国を含む,西日本一周の旅に出かけた。厳しい日程の中,なんとか無事帰宅し,気持ちを落ち着ける間もなく,まず一番に「次は海外に行こう」と思った。

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 初めは,アメリカ一周くらいにしようかとも思っていた。でも調べてみたところ,実はアメリカ一周だと数ヶ月程度でまわれてしまうことがわかった。そしてアメリカ一周に行くとなると,たった数ヶ月の旅のためにわざわざ仕事を辞めないといけないし,失うものは果てしなく大きい。

 そんな思いの末,
「それやったらもっと期間をのばして世界一周したったらええやん」
 と,至極自然ないきさつで,僕の中で自転車世界一周旅行という目標が定まった。

 自転車旅において,常に僕の中にあるのは『次はもっと遠くへ行ってみたい』という想いだ。自転車旅の魅力に身を任せるままのめり込んでいき,そして『次はもっと遠くへ行ってみたい』と願い続けた。そして辿りついたのが『世界一周』だったのだ。
 友達には「よくそんな決断できたな」とか言われるけれど,僕の中で大きな決断なんてほとんど無かった。飛躍した発想で思い至った『世界一周』では無く,段階を踏んでいき自然な思考の流れで辿りついた『世界一周』だったからだ。今回のことと比べたら,僕の場合,家電製品なんかを選ぶ時の方がもっと悩むし,大きな決断を下している感覚がある。そのぐらい僕の中でこの世界一周は,極々自然な成り行きだったのだ。

 世界一周の決断を下すうえで,1つ幸運と言えば幸運だったのが,仕事について。
 多くの自転車旅行者が頭を悩ませている問題として,帰国したときの就職の問題がある。「家からの行き帰りも遠足の内」というのと一緒で,「仕事をいったん辞め,旅立ち,帰国してから再就職をするまでが“世界一周旅行”」なのだ。
 僕の場合,今年の3月まで小学校の講師として働いていたのだが,講師の場合は1年とかの区切りで採用があることが多いので,まず正規で採用されている人よりも辞めやすかったというのが1つ。そして京都市に限って言えば,講師の数が足りていないといううわさをちらほら聞いたりもする。これは現在の話なので,僕が再び日本に帰ってくるまで,その講師不足が続いていると考えるのは楽観的過ぎるかもしれないが,少なくとも普通のサラリーマンよりかは仕事に就きやすいだろう。そして正規の採用試験も毎年行われていることなので,講師をしながら毎年受けていればいつかは受かるだろう。すべては僕の希望的観測だが,それでも他の自転車旅行者よりも,『仕事』については頭を悩ませずにすんでいる。
 そんな事情もあり,僕は世界一周旅行を即決できたわけだ。

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 自分で書いていても,いろいろと子どもじみてると思うし,現在27歳の僕が世界一周から帰ってきたとき,おそらく30歳くらいになっていると思う。30過ぎで,仕事も無く,貯金もスッカラカンとかほんま終わってるなとも思うんやけど,まあ,そんな悲惨な状態になってでもやってみたいことがあるというのは,それはそれで良いんじゃないかと楽観的に捕らえている。
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2013年03月 31日22:43 旅の計画

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Comment

僕は今高校一年生です
僕が中学一年生くらいの時、家のタブレットであなたの旅の話を聞いてなんて面白そうだと思いました!
とても楽しそうに話を聞いて僕は将来必ず世界で自転車で旅をするという決断をしました!
あなたの記事で僕の将来は決まりました!!
こんな面白いことに出会わせてくれてありがとうございます!

返信が遅くなりすみません。
決しておすすめはしませんが、自転車で世界を周ろうとするような人は周りに何を言われても耳を貸さない人だと思います。僕がそうですが。
僕からは、しっかり情報を得てできるだけ安全に気を付けて、ということだけです。

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